CloudFront+LightSailでスケーラビリティが(それなりに)あるサイトを安く作る

敢えてサイト丸ごとCDNにしない

 can.ne.jpではサイトを丸ごとCDN(配信サービス)で配信しないようにしています。CloudFrontなどのCDNはそれなりにお高い上に、フォームを置いたインタラクティブなサイトでトラブルが生じる可能性を否定出来ないからです。

動画や画像だけCDNに置く

 can.ne.jpが使っているWordPressというCMSは基本的にはローカルでファイルを管理します。ただし、『HTMLブロック』機能でリンクを手書きすれば外部の画像を表示出来ます。

 また、WordPressプラグインの動画プレイヤー『FV Flowplayer Video Player』や音声プレイヤー『MP3 Music Player by Sonaar』はURL指定で外部ファイルを再生できます。

 これらを使うことで、ファイルサイズが大きい動画や画像だけをCDNに置くことが出来ます。

2サーバー+CloudFront構成で大きなファイルだけCDN配信する

 これらを念頭に置いて構築したcan.ne.jpの構成図は下記となります。

can.ne.jpのCDN構成図

 まず、WordPress MultiSiteを設置したブログサーバー(can.ne.jp)とは別に配信サーバー(cloudfront.can.ne.jp)をLightSailで作ります。ただのファイル置き場なのでCMSなどは動かさず、Webサーバーも高速と言われるNginxを選びました。このようなサーバーを『オリジンサーバー』と呼びます。オリジンサーバーは外部からのアクセスを想定しないため、SSL証明書は不要です。

 次に、CloudFrontのインスタンス(cf.can.ne.jp)を作成してSSL証明書を取得します。can.ne.jpのドメインはAWSのDNSサーバー『Route 53』に置いているので、cf.can.ne.jpへのアクセスをCloudFrontに流し込む設定を簡単に行えます。

 なお、CloudFrontのようにサイト訪問者に最寄りから高速にデータを配信するサーバーを『エッジサーバー』と呼びます。各種設定の際は、オリジンサーバーとエッジサーバーが別のサーバー名(FQDN)になる点に気を付けて下さい。

Amazonの回し者のような図をついに描いてしまいましたが

 AWSがAmazonの利益率が高い事業であることは知っているので、AWSが決して『最安』ではないとの認識です(Amazonの商品が必ずしも最安ではないように)。

 CDNの導入にあたっては、無料枠があるCloudflareも検討しました。しかしDNSをRoute 53からCloudflareに移さなければならないことが分かったため断念しました。とにかく安くサイトを運営したいなら、DNSを設置する段階からCloudflareを選んでおくのが良いと思います。

 また、CDNを選ぶ際はエッジサーバーが日本国内でどの程度配備されているかが重要なポイントとなります。個人サイトなら落ちさえしなければ遅くても構いません(笑)。しかしビジネス目的なら国内に多数のエッジロケーションがあるかどうかが配信速度を左右しますので、無難にCloudFrontや、お高いことで有名なAxxxxxなど有名なサービスを選ぶことになると思います。

CDNは「逃げられるようにしておく」のが大事

 ロートルWeb担当者なら身に覚えがあるかも知れませんが、昔はCDNと言えばAxxxxx社だったので、CDNを入れるイコール「青天井の予算を組む」という恐ろしいタスクでした。

 特に企業サイトでは新製品発表など訪問者がスパイクするタイミングで波の大きさがどれくらいになるか、なかなか読めないものです。発表日にはCDNのコンソール画面に貼りついて、アクセスが殺到して予算超過にならないか見張らなければなりません。

 「いよいよ予算的にヤバイ」となれば、泣きながら手動でリンクをオリジンサーバーに付け替えるわけです。これでサーバーが重くなったり最悪落ちるかも知れませんが、CDNの青天井課金から逃げることだけは出来ます。

 「そもそもアクセスが殺到しても耐えられるくらい予算を確保(できる会社に就職)しておけよ」という正論が聞こえてきますが、悲しきかな日本の社畜はそうも行かないのが常です。保身の手段として覚えておくと良い、かも知れません。

Cloudfront+LightSailでコンテンツ配信サービス(CDN)を作る

自前主義なら動画まで

 「自前主義で行こう」と独自ドメインでサイトを再開した私ですが、動画はYouTube先生に依存しています。動画はファイルが大きいので自分のサイトに置くのは正直怖いのですが、自前主義をテーマにしてみたので動画もサイトに置いてみることにしました。

LightSailは安いがしょぼい

 LightSailはAmazonの格安ホスティングサービスで「月額 3.50 USD から」が売りです。お財布に余裕が無い私は迷わず3.5ドルコースを選びましたが、スペックは下記のようなものです。

 うちのパソコンよりしょぼいです💦 無名サイトなので余裕ではあるのですが、動画を置くのは怖い。というわけで、Amazonのコンテンツ配信サービス(CDN) 『CloudFront』を入れてみることにしました。

 CloudFrontはWebサーバーのファイルをキャッシュして配信を代行してくれるサービスです。CodeZineによれば「東京における16のCloudFrontエッジロケーションおよび1つのCloudFrontリージョナルエッジキャッシュ、2つのAWS Direct Connectロケーション、大阪における1つのCloudFrontエッジロケーション、および1つのDirect Connectロケーション」とあり、2021年3月時点で日本国内に17か所の配信サーバーがあります。

 これならWebサーバーがしょぼいままでも、動画をCloudFrontに置けば、万が一アクセスが増えてもサーバーが落ちる事態は防げそうです。

で、CloudFrontはナンボなの?

 「でも、お高いんでしょう?」

 特に仕事でアカマイなどのCDNを入れたことがある方は、とても、とても心配になると思います。実際、企業向けのサービスなので多少の出費は覚悟する必要があります。具体的には、

 日本向けの料金が1GBあたり0.114ドルです。20MBの動画が月間1万再生されると約200GBになりますので、月22.8ドルになります。

「やはり、お高い……」

 しかしここはぐっと歯を食いしばって「1万再生もあれば22.8ドルくらいの収入は期待出来るだろう」と前向きに考えます。

CloudFront、なんとか動きました

 その後試行錯誤した結果、なんとかCloudFrontを動かすことが出来ました。

$ curl -svo /dev/null https://cf.can.ne.jp/v/my-domain-in-2020s.mp
4
*   Trying 54.239.169.55:443...
* Connected to cf.can.ne.jp (54.239.169.55) port 443 (#0)
* ALPN, offering http/1.1
* successfully set certificate verify locations:
*  CAfile: /opt/bitnami/common/openssl/certs/curl-ca-bundle.crt
*  CApath: none
...
< HTTP/1.1 200 OK
< Content-Type: video/mp4
< Content-Length: 13960998
< Connection: keep-alive
< Server: nginx
< Date: Mon, 12 Apr 2021 09:15:50 GMT
< Last-Modified: Mon, 12 Apr 2021 08:33:00 GMT
< ETag: "607405bc-d50726"
< X-Frame-Options: SAMEORIGIN
< X-Cache: Hit from cloudfront

X-Cache: Hit from cloudfront

 次回以降、どのような設定を行ったかをゆっくり書いていきたいと思います。

WordPress Multisiteを選ぶべきか

 AWS LightsailのWordPressには通常版とマルチサイト版(WordPress Multisite)の二種類があります。どちらを選んでも致命的な影響はなさそうですが、複数のサブドメインでWordPressを展開したいならMultisiteを選ぶ余地があります。

 上図がWordPress Multisiteと一般的なWordPressの違いです。

 「① 一般的なWordPress」では複数のサブドメインを展開するために同数のLightSailインスタンスを作る必要があります。インスタンスごとにリソースを確保するので、リソースを使い切らない小規模のサイトでは割高になります。一方で、特定ドメイン用のインスタンスを停止しても他のサブドメインに影響が無いと言った利点もあります。

 「② WordPress Multisite」では単一のLightSailインスタンス内で複数のサブドメインを展開出来ます。プラグインなど管理が一元化されるほか、LightSailインスタンスをひとつしか起動しないのでアクセス数が少ないうちは料金的にお得になります。ただし、一般的なWordPress用のプラグインが使えなくなる(有償契約が必要など)ことがあるため、初心者やサブドメインの展開予定が全くない場合は避けた方が良さそうです。

 また大規模なアクセスを期待出来るサイトの場合は、LightSailインスタンスのリソース制約があるのでWordPress Multisiteは避けた方が良いでしょう。「そもそもLightSailで大規模サイトを運用するのか?」という話もありますが💦

長期の仕事を探しています

デジタルマーケティング関連の仕事を探しています❢

 今春から長期の仕事を探しています。40代なので「採用はちょっと……」という人事ご担当者様も多いと思います。正直20代の元気な方のような伸びしろはありませんが、当サイトでスキルレベルが適切と思われた方は、お気軽にお声がけ頂ければと思います。下記フォームかツイッター(https://twitter.com/masarumkt)、あるいはメール(masapon05 アットマーク gmail.com)でご連絡下さい。

    ようやく常時SSLになりました(Let’s Encrypt)

     ウェブマーケ畑の人間なら1日も早く導入したいSSL。個人サイトということもあり、定番の無償SSLであるLet’s Encryptを導入しました。LightSail環境で立ち上げたWordPressなので一般的な環境と少し異なるので、メモしておきます。

    Generate And Install A Let’s Encrypt SSL Certificate For A Bitnami Application

     https://docs.bitnami.com/aws/how-to/generate-install-lets-encrypt-ssl/#step-5-renew-the-let-s-encrypt-certificate

    bncert-toolというBitnami専用のツールをAWS Lightsailのコンソール上で行います。設定自体はとても簡単ですが、certbotの手順とは異なるので注意が必要です。

    certbot instructions(一般的なdebian – apacheの場合はこちら)

    https://certbot.eff.org/

     ブログのようなオープンなサイトではSSLはセキュリティ面で必須とは思いませんが、Webブラウザで派手な警告が出ること、Google検索などで低評価を受けることを考えると個人サイトでも不可欠との認識です。

     技術畑ではない人にはどんどん敷居が高くなる独自ドメインでのサイト構築ですが、何とか時代の変化を追い続けてサイトを延命することには自身のスキル維持という意味でも重要と思います。