AWS以外のクラウドには仮想マシンの無料枠がある
AWSで構築したcan.ne.jpですが、維持費に毎月数ドルかかります。「AWSのメールマガジンで毎月バウチャーをもらえばホニャララ」という話もあるのですが、AWSでWebサイトを作ると初年無料を除けば基本的に有料です(2021年4月現在)。
一方で、AWSに対して出遅れ感があるGCP(Google Compute Engine)やOCI(Oracle Cloud Infrastructure)は永年無料でWebサイトを構築出来る仮想マシン(Virtural Machine, VM)を立てられます。
クラウドに慣れる目的もあり、GCPとOCIの双方で仮想マシンを立ててみましたが、特にオラクルのOCIが太っ腹だったのでご紹介します。
無料枠なのにAWSのLightSailよりハイスペック
OCIの無料枠『Always Freeリソース』にはデータベースやストレージもありますが、好きなデータベースをインストールして使えるのはAlways Freeコンピュート仮想マシン(VM)インスタンスです。スペックは
- シェイプ: VM.Standard.E2.1.Micro
- プロセッサ: 追加のCPUリソースを使用する機能を持つ1/8 OCPU
- メモリー: 1 GB
- ネットワーキング: 1つのパブリックIPアドレスと最大480 Mbpsネットワーク帯域幅を持つ1つのVNICが含まれます
- オペレーティング・システム: 次のいずれかのAlways Free対応オペレーティング・システムを選択できます:
- Oracle Linux (Oracle Autonomous Linuxを含む)
- Canonical Ubuntu Linux
- CentOS Linux
1/8 OCPUってなんぞや?
「1/8 OCPUってなんぞや?」と調べてみたところ、AMD EPYC 7551 32-Core ProcessorというCPUの1コアが割り当てられていました。最近のCPUは6コア12スレッドくらいあるので、その1コアぶんくらいでしょう。
[opc@mysql ~]$ sudo cat /proc/cpuinfo
processor : 0
vendor_id : AuthenticAMD
cpu family : 23
model : 1
model name : AMD EPYC 7551 32-Core Processor
stepping : 2
microcode : 0x1000065
cpu MHz : 1996.249
cache size : 512 KB
physical id : 0
siblings : 2
core id : 0
cpu cores : 1
apicid : 0
initial apicid : 0
fpu : yes
fpu_exception : yes
cpuid level : 13
wp : yes
flags : fpu vme de pse tsc msr pae mce cx8 apic sep mtrr pge mca cmov pat pse36 clflush mmx fxsr sse sse2 ht syscall nx mmxext fxsr_opt pdpe1gb rdtscp lm rep_good nopl cpuid extd_apicid tsc_known_freq pni pclmulqdq ssse3 fma cx16 sse4_1 sse4_2 x2apic movbe popcnt tsc_deadline_timer aes xsave avx f16c rdrand hypervisor lahf_lm cmp_legacy svm cr8_legacy abm sse4a misalignsse 3dnowprefetch osvw topoext perfctr_core ssbd ibpb vmmcall fsgsbase tsc_adjust bmi1 avx2 smep bmi2 rdseed adx smap clflushopt sha_ni xsaveopt xsavec xgetbv1 nt_good virt_ssbd arat npt nrip_save
bugs : fxsave_leak sysret_ss_attrs null_seg spectre_v1 spectre_v2 spec_store_bypass
bogomips : 3992.49
TLB size : 1024 4K pages
clflush size : 64
cache_alignment : 64
address sizes : 40 bits physical, 48 bits virtual
power management:
processor : 1
vendor_id : AuthenticAMD
cpu family : 23
model : 1
model name : AMD EPYC 7551 32-Core Processor
stepping : 2
microcode : 0x1000065
cpu MHz : 1996.249
cache size : 512 KB
physical id : 0
siblings : 2
core id : 0
cpu cores : 1
apicid : 1
initial apicid : 1
fpu : yes
fpu_exception : yes
cpuid level : 13
wp : yes
flags : fpu vme de pse tsc msr pae mce cx8 apic sep mtrr pge mca cmov pat pse36 clflush mmx fxsr sse sse2 ht syscall nx mmxext fxsr_opt pdpe1gb rdtscp lm rep_good nopl cpuid extd_apicid tsc_known_freq pni pclmulqdq ssse3 fma cx16 sse4_1 sse4_2 x2apic movbe popcnt tsc_deadline_timer aes xsave avx f16c rdrand hypervisor lahf_lm cmp_legacy svm cr8_legacy abm sse4a misalignsse 3dnowprefetch osvw topoext perfctr_core ssbd ibpb vmmcall fsgsbase tsc_adjust bmi1 avx2 smep bmi2 rdseed adx smap clflushopt sha_ni xsaveopt xsavec xgetbv1 nt_good virt_ssbd arat npt nrip_save
bugs : fxsave_leak sysret_ss_attrs null_seg spectre_v1 spectre_v2 spec_store_bypass
bogomips : 3992.49
TLB size : 1024 4K pages
clflush size : 64
cache_alignment : 64
address sizes : 40 bits physical, 48 bits virtual
メモリー1GBは余裕がある
can.ne.jpが動いているAWS LightSailは最安プランではメモリが512MBしかありません。
OCIの仮想マシンはメモリが2倍の1GBあるので、アクセス負荷への耐性がLightSailの最安プランよりずっと高いと思われます。今から自分がWordPressのブログサイトを作るなら、少し面倒でもOCIで自分で構築すると思います。
ストレージは100GBまでいけそう
画像をたくさん置くブログでは気になるストレージ容量ですが、「コンピュート・インスタンスをプロビジョニングする場合、インスタンスはストレージ用に50 GBのブート・ボリュームを自動的に受け取ります」との記述があり基本50GBです。
さらに「ブロック・ボリュームを作成してアタッチすると、コンピュート・インスタンスのストレージ容量を拡張できます」「すべてのテナンシは、合計100 GBのAlways Freeブロック・ボリューム・ストレージと、5つのボリューム・バックアップを受け取ります」とあるので、ブロックボリュームをアタッチすることで100GBまで拡張出来ると思われます。
上のLightSailプランの5倍ですね……。
やっちまった…… Oracle Linuxってなに??
深く考えずにポチポチして仮想マシンを作ったところ、Oracle Linux 7.9という独自Linuxが入ってしまいました。Red Hat Enterprise Linuxのクローンなのでコマンド周りはCentOSに近いのですが、正直
「特に理由が無いのに、よく知らないOSは使いたくない。面倒くさい」
というのが本音です。UbuntuやCentOSも選べるらしいので、これからOCIを始める方はOS選びに気をつけて下さい。
セキュリティ周りが面倒くさい(間違ってはいないけど)
OCIでインスタンスを作ると、他社とは異なりデフォルトでファイアウォールが有効になっています。ファイアウォールを設定してポート開放しないとWebサイトすら公開出来ないので、初心者向きではありません。
とは言え、セキュリティの問題はサイトを公開する以上は避けて通れないので、敢えて苦しんで設定してみるのも良いかと思います。
また、AWSやGCPには標準で備わっている『Webブラウザ版のSSHクライアント』が無い(ような)ので、RLoginなどのSSHクライアントをインストールするかシェル版のsshを長いコマンドを打って起動する必要があります。こういった「とっつきやすさ」では、OCIはまだAWSやGCPより一歩遅れているように思います。
オラクルのビジネスモデルを考えると、そもそも初心者やライトユーザーは見込み顧客として想定していないと思いますが……💦
【追記】ufwでポートが開かない問題、私も遭遇しました😭
OCIでのポート開放で、「ufwを用いてポートを開放できない問題に遭遇」する問題に私も遭遇しました。
1つ目のインスタンスにLogstashを入れたところ凄いメモリ食いでメモリ1GBでもフリーズが頻発。泣く泣く他のサーバーを落としてOCIのサイトを見ていたところ「2つのAMDコンピュートVM」との記述を発見。「Oracleどんだけ太っ腹なんだ」と思いつつ2個めを立ち上げたところ、SSLが開きません。
セキュリティーグループを作りイングレスを設定しても無反応。「これはインスタンス内部の問題か?」と思いufwを設定するも無反応。かなり絶望的な気分で1時間くらい検索しまくったところ
結論だけ先に言っておくと、Oracle Cloud上だとufwはバグっているのでiptablesをいじってポート開放すればいいです。
Oracle Cloudでポートを開放されない問題の解決策 – viasnake.com
との超ありがたい記述が。こんなんわかんねえよ先に言っといてくれよOCIさん😭😭😭
……というわけでサイトの記述に従ってiptablesを直接書き換えて無事解決しました。ufwは幅広く使われているのでポート開放でドハマりしたUbuntuユーザーは少なくないはず。不具合に対処するか、せめて「ufw使うな」と公式に書いておいてほしかったです。