[AWS+WordPress]今さら聞けない二段階認証(MFAデバイス)でのセキュリティ強化

聞くとヤバいので本当に今さら聞けないセキュリティ対策

 枯れた技術の入門記事で「今さら聞けない」を枕詞にしたものをよく見ますが、「本当に聞けない」のがセキュリティ対策です。なにせ「知らない」「やってない」ことがバレた時点で「セキュリティ甘々なサイト」と他所様に認識されてしまうのですから……。

 この数か月で少しAWSとWordPressに詳しくなったので、復習がてら導入のアドバイス・コンサルティングを始めました。お客様のお話をお伺いしていると情報セキュリティへのご関心が高いようです。WordPressは有名CMSなので、セキュリティホールを突く攻撃から面倒くさいコメントスパムフォームスパムまで日々痛い目に遭っている方が多いようです。

 私自身は情報処理安全確保支援士(SC)の資格など持っていませんし、そもそもエンジニアですらありません(アドミン君でないとは言い切れませんが……)。従ってセキュリティを語る資格は無いのですが、現実問題としてウェブサイトを立てた瞬間からセキュリティのリスクと責任を負ってしまうのでどこぞの予約サイトのようにセキュリティを全く無視するわけにはいきません。

今さら「入れない」では済まない二段階認証(多要素認証=MFA)

 昔は二段階認証と言えばオンラインバンキングなど金融系が中心でした。しかし、ここ数年でセキュリティ事故による情報流出が多発し、IDパスワードが攻撃者に奪われてしまいました。

 その結果、各種のサービスに不正取得したIDパスワードを使って侵入し不正送金などを行い、ユーザーが深刻な被害を受ける事件まで起こってしまいました。その結果、みんな大好きメルカリやYahoo!/PayPayを筆頭に、一般的なサービスでもすごい勢いでワンタイムパスワードによる二段階認証が普及しています。

 二段階認証で幅広く使われている方式は、下記となります:

  1. トークン(認証専用ハードウェア)による認証
  2. 携帯電話・スマホのSMSによる認証
  3. スマホの認証アプリによる認証(これが当記事のテーマです)

 これらの方式をセキュリティ用語では『MFAデバイス』、特にスマホアプリによる方式を『仮想MFAデバイス』と呼びます。MFAはMulti-Factor Authenticationの略で、直訳すると『多要素認証』となります。

 個人サイトではトークンやSMSによる認証は難しいので、3.の『スマホの認証アプリによる認証』に頼ることとなります。しかし、予備知識がないと「認証アプリってなに?」「どの認証アプリを使えばいいの?」と頭がはてなマークで埋め尽くされてしまいます。

ワンタイムパスワードには共通規格がある(RFC 6238 – TOTP)

 結論から申し上げると、二段階認証で使われるワンタイムパスワードの方式には共通規格があります。『RFC 6238 – TOTP: Time-Based One-Time Password Algorithm』というもので、ざっくり言うとSSLなどと同じレベルです。

 従って、AWSやWordPressに二段階認証を入れようと思ったら、まず最初にやることは『TOTP対応の認証アプリ』のインストールです。「TOTP対応なら、どれでも良い」ということです。Googleで検索してみると、下記のような認証アプリがヒットします:

注意点① アプリ認証はSMS認証に依存している

 実際に認証アプリを使う前に、絶対に確認しておくべきことがあります。スマホをなくしたり壊したりしてしまったら、アプリ認証も出来なくなってしまいます。従って、二段階認証を入れる前に、必ず認証アプリの機種変更方法を把握しておかなければいけません。私が使っているIIJ SmartKeyで機種変更を行うための本人確認は、SMS認証を用いています:

 これが意味することは、「電話番号を変えてしまったら認証アプリの機種変更が出来なくなり、ワンタイムパスワードも最終的には使えなくなる」ということです。アプリによって本人確認の方法は異なる可能性がありますが、頭の片隅に置いておいて下さい。

注意点② AWSの二段階認証はルートユーザーとIAMユーザーの両方で必要

 セキュリティ重視の方は、AWSでもユーザー登録時に付与されるルートユーザーではなく別途IAMユーザーを作成して運用していることも多いかと思います。しかし当然ながら、仮にふだんは使っていないとしても、ルートユーザーも二段階認証を入れないとIDパスワードを抜かれたら終わりです。

ルートユーザーに二段階認証を入れるメニューは『マイセキュリティ資格情報』(2021年5月現在)
AWSの二段階認証は『多要素認証(MFA)』という名称

注意点③ WordPress自体にも二段階認証を入れないと意味がない

 WordPressは一般的にブログなどを公開するウェブサイトと同じサーバーに管理画面があり、ウェブ上で記事を編集します。WordPressは5.xの時点では本体に二段階認証の機能がないため、サードパーティーの認証プラグインを入れる必要があります。WordPress 6.xでは絶対に改善してもらわないと困る状況ですが、いま出来ることとしてWordfence Security – Firewall & Malware Scanを入れています。

 正直、CMS全体の動作に大きな影響を与えるセキュリティ関連でサードパーティーのプラグインを入れるのは怖いので、「インスタンスのバックアップを取った上で恐る恐る入れている」というのが本音です。

 私自身は無職でノマド()なのでWordPressに接続するIPアドレスを固定するのが難しい状況ですが、企業ユーザーの方などでIPアドレスの固定が可能な方は、IPアドレスの指定による管理画面へのアクセス制限が可能かどうか、併せてご検討されるのがよろしいかと思います。

まだの方は今すぐ始めて下さい

 正直、情報セキュリティ関連の投稿は、自分の手口を明かしてしまう上に本職のエンジニア様などによる恐ろしいマサカリにも晒されているので「書きたくない😭」のが本音です。

 しかし、非エンジニアの方が多く利用しているWordPressがセキュリティ面で脆弱な状況に置かれている現状は非常にまずいと感じたため、敢えて二段階認証の投稿をするという決断をしました。

 このような状況ですので、セキュリティが本職の皆さまが当記事に問題を発見した場合は、何卒、優しくご指摘ください。ご指摘そのものは、当サイトのセキュリティ改善につながるので歓迎です。